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阪神淡路大震災の少し後、浄法寺の塗師のもとに、傷ついたお椀の修理が依頼されました。5年使ってきたというお椀を見て、塗師はとてもうれしくなりました。まるで釉薬を塗ったかのように飴色の底つやが現れて美しい肌をしていたからです。右のお椀は新品、左のお椀が5年使われてきたお椀です。
朱漆の上に半透明の透き漆を塗って仕上げる「溜塗」は、使うほどに朱色が透けてみえてきて、えもいわれぬ色に変わっていきます。特に、浄法寺塗は、ふだん使いの器として作られているものがほとんどなので、食卓に馴染むよう、シンプルで使いやすいデザインを追求し、仕上げの研磨はしていません。
「塗師の仕事は7割までで、あとの3割は使い手が完成させる」と塗師たちが言うように、使われてこそ麗しく磨かれていく漆器なのです。

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